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東京家庭裁判所 平成5年(少)6974号 決定

少年 K・T(昭54.7.11生)

主文

この事件を東京都品川児童相談所長に送致する。

理由

(罪となるべき事実)

少年は、

第1  触法少年A及び同Bと共謀の上、平成5年8月8日午前2時50分ころ、東京都品川区○○×丁目×番×号○○ビル前駐輪場において、同所に駐車してあった原動機付自転事の燃料タンク内からC所有のガソリン約2リットル(時価約230円相当)を窃取し

第2  触法少年Dと共謀の上、同月19日午後4時ころ、東京都品川区○○×丁目××番○○所脇駐輪場において、E子管理にかかる自転車1台(時価約5000円相当)を窃取し

第3  F、G、H及びIと共謀の上、同年10月17日午後1時50分ころ、東京都大田区○○×丁目×番○○建設工事甲、乙、丙、丁建設共同企業体事務所2階において、Jほか1名所有の現金852円位及び右建設共同企業体事務所長K管理にかかるトランシ一バー4台ほか25点(時価合計約18万6060円相当)を窃取し

たものである。

(適用法条)

刑法235条、60条

(児童相談所長送致の理由)

少年には、小学校時代、万引きの非行がみられた。中学校に入ってから、バイクに興味を持ち、原動機付自転車を窃取してこれを無免許運転するなどの非行を何度も犯している。前記第1の非行はその一端を示すものである。盗みに対する罪障感が薄く、第2、第3の非行にもそれが現れている。しかし、少年の非行はいずれも同年輩の遊び仲間の少年達と共に犯した遊び型非行の範囲内に留まっており、それほど重大悪質なものではない。また、これらから直ちに、少年には盗癖がある、とまでは断じ難い。少年は、本件各非行で取調べを受けた後も、女子中学生数名と共にいわゆるカツアゲを働いたことがうかがわれるが、これは、警察がこれを正式に立件して送致するかどうかまだ決めないでいる程度の非行のようである。このように、少年の非行性は依然として予断を許さない状態ではあるが、これが深刻の度を増しつつあるとまでは認められない。しかし、少年の夜遊び、怠学、父母のいいつけに従わない状態は相変わらずであり、気に入らないことがあると、継母に対して暴力を振るうようなこともあり、父母は少年の監護に悩み苦しんでいる。このような少年の非行性の程度、素行、資質、年齢ないし未熟性、父母との関係等に照らすと、本件はこれを所轄の児童相談所長に送致して、その措置に委ねるのが相当である。

よって、少年法23条1項、18条1項、少年審判規則23条により、主文のとおり決定する。

(裁判官 浜井一夫)

〔参考〕少年調査票〈省略〉

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